こんにちは、兵庫県加古川市・播磨町で学習塾「ニードモアアカデミー」を運営している三浦です。
夏休みは、受験に向けた学習を本格的に進める時期です。中3の子たちも、この夏から英語のリスニング対策を始めていくところなのですが、今回はその「英語リスニング」がテーマです。「単語も文法もわかっているのに、耳では聞き取れない」というお悩みは、中学生・高校生のお子さんを持つご家庭でとても多く聞かれます。今回はその理由を、少し意外な入り口である「動物の鳴き声」から掘り下げ、家庭でできる耳の慣らし方までお話しします。お子さんのリスニングが気になる保護者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
犬の鳴き声は「ワンワン」じゃない?世界で全然違う理由
「英語のリスニングがどうしても伸びない」というお子さんは少なくありません。その根っこを考えるのに、まず別角度から掘り下げていきたいと思います。
犬の鳴き声、日本語では「ワンワン」ですよね。でも英語では「バウワウ(bow-wow)」と表します。同じ犬の声を聞いているはずなのに、文字に起こすとまったく違うんですよね。
違いは犬だけではありません。カエルは日本語で「ゲロゲロ」ですが、英語では「リビット(Ribbit)」。ニワトリは「コケコッコー」に対して、英語では「クックドゥードゥルドゥ(Cock-a-doodle-doo)」となります。これはただの感覚の話ではなく、実際に音を分析して各言語で鳴き声をどう表すかを比べた研究もあるくらい、しっかりしたテーマなんですよね。
ここで大事なのは、犬は世界中どこでも同じ声で鳴いている、という点です。物理的な音は一緒。それなのに、文字にすると国ごとにこれだけ変わる。つまり、耳から入ってくる音は同じでも、それを言葉にするところで、国ごとに違うフィルターがかかっているということなんです。
なぜ言語によって聞こえ方が変わるのか
なぜ日本語と英語でこんなに聞こえ方が違うのか。それは、言語ごとに持っている「音の体系」が違うからです。特に日本語は、音を言葉にするのがとても得意な言語で、オノマトペがものすごく豊富なんですよね。
オノマトペは動物の鳴き声だけではありません。「キラキラ」「ふわふわ」もそうですし、雨の降り方ひとつでも「しとしと」「ざあざあ」「ぽつぽつ」と何通りも言い分けます。ここまで細かく音を言葉にする言語は、世界的に見てもかなり珍しいんです。日本語で育つと、耳が「音を日本語の型にはめて聞く」クセを、かなり強く持ちます。便利なのですが、その型が英語にはうまく合わないんですよね。
音の感じ方には共通の土台もある
とはいえ、言語ごとに全部バラバラで共通点ゼロかというと、そうでもありません。「ブーバ・キキ効果」という有名な研究の話があります。丸っこい形とギザギザに尖った形を見せて「どっちがブーバで、どっちがキキだと思いますか」と聞くと、いろいろな言語圏で、丸いほうをブーバ、尖ったほうをキキと答える人が多いんです。「キキ」は尖った感じ、「ブーバ」は丸い響き、と言われてみれば確かに感じますよね。
つまり、音の感じ方には言語を超えた共通の土台もちゃんとあるんです。英語の音は、宇宙人の言葉をゼロから覚えるような話ではなく、土台自体は人間みんな共通。だから、慣れさえすれば必ず掴めるようになります。その上に乗っている日本語のクセを、英語向けに慣らしていけばいいわけです。
単語は読めるのに聞き取れない、その仕組み
日本語のクセは、英語のリスニングで大きく2つの形になって出てきます。
ひとつは、日本語にない音の区別です。日本語では同じ音に聞こえてしまうものが、英語では別の音として区別されています。たとえばRとLをどちらも「ら行」ととらえてしまう。また日本語は母音と子音が必ずセットで発音されますが、英語は子音だけで発音が成り立つことがあります。「it」も「イット」ではなく「イッt」のように、「ト」と言い切らずにtだけの音になる。日本語の耳は、その違いをスッと通り過ぎてしまうんですよね。
もうひとつが、これがかなり大きいのですが、英語は単語と単語がくっついて、ひとつの音のかたまりになって聞こえることです。日本語のように一音一音をはっきり区切りません。たとえば「1つのリンゴ」は「an apple」ですが、発音的には「アナポ」のようになります。単語ひとつずつなら聞き取れるのに、つながって速く流れると、もう別の音に聞こえてしまう。だから、単語も書けて文法もわかっているのに、耳では拾えない、ということが起きるんです。
読めるのに聞けないと、本人からすると「わかっているはずなのに」ともどかしいものです。ただ、これは能力不足ではなく、日本語の型と英語の音の作り方がずれている、それだけの話です。「そういう仕組みだから、慣らせばいい」と考えれば、だいぶ気が楽になりますよね。
家庭でできる、英語の耳の慣らし方
では、その耳をどう慣らしていくか。まず知っておいてほしいのが、音を聞き分ける力には育ちやすい時期があると言われている点です。だいたい小学生くらい、6歳から12歳くらいまでとされていて、早いうちに英語の音を耳に入れておく意味は大きいです。ただし、過ぎたら手遅れという話ではありません。いつからでも慣らしていけるので、受験生でも決して遅くはないんですよね。
よく「英語を流しておきましょう」と言いますが、ただ流しているだけだとBGMのようになって、右から左に抜けていってしまいがちです。日本語の耳は英語の音を「同じ音」として流してしまうので、耳を組み替えるには、どこかで一度「あれ、今なんて言った?」と引っかかること、つまり少しの「気づき」を混ぜてあげることが必要です。
繰り返しと「答え合わせ」がカギ
その気づきを作るコツを、いくつか整理します。
- 同じものを繰り返す:新しい動画を次々見るより、簡単で短いものを何回も繰り返す。2回目・3回目で「今ここ、こう言ってたんだ」と音がほどける瞬間があります。
- すでに話を知っているものの英語版にする:好きなアニメや映画なら、内容を追わなくていいぶん、耳が音そのものに集中できます。
- 音だけで聞いてから答え合わせをする:リスニング問題を音だけで聞き、そのあと文字で「実際なんて言っていたか」を確認する。自分が聞き取れていなかったズレに気づくのが、母語のフィルターを組み替える近道です。
- 軽く声に出して真似る:自分で出した音は不思議と聞き取れるようになります。英語の歌を口ずさむのも、何気に効果的です。
ただ英語を流しておくという手法はよく聞きますが、その中身が実はとても大事なんですよね。
まとめ
- 犬が「ワンワン」でも「バウワウ」でも、聞いている音は同じ。文字が違うのは母語のフィルターを通して聞いているから。
- 英語が聞き取りにくいのは耳の性能ではなく、日本語と英語で使っている音が違うという「仕組み」の話。
- 日本語にない音の区別(RとL、子音だけの音)と、単語がつながる音(an apple=アナポ)が、聞き取りにくさの正体。
- 音を聞き分ける力は6〜12歳頃までに育ちやすいが、いつからでも慣らせるので受験生でも遅くない。
- ただ流すのではなく、繰り返し・知っている話の英語版・音だけ聞いてからの答え合わせで「気づき」を混ぜるのがコツ。
聞き取れないのは仕組みの話なので、耳を慣らしていければ大丈夫です。この夏、気楽に、でもちょっとだけ工夫して始めてみてください^^
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