こんにちは、兵庫県加古川市・播磨町で学習塾「ニードモアアカデミー」を運営している三浦です。
もうすぐ夏休みですね。夏休みの宿題のなかでも、最後の最後まで残ってラスボスのようになりがちなのが読書感想文です。特に小学生のお子さんのいるご家庭では、親子で苦戦しているという声をよく聞きます。そんななかで多くの保護者の方が悩まれるのが「読書感想文って、親がどこまで手伝っていいの?」という線引きです。手伝ったらズルになるんじゃないか、子どものためにならないんじゃないか——そう気にされる方は本当に多いんですよね。今回は、この夏の読書感想文について、「手を出していい部分」と「手を出さないほうがいい部分」を、塾の現場目線で整理してみました。
読書感想文を手伝う保護者は約65%
まず、そもそも「感想文を手伝っている家庭ってどのくらいいるのか」という話からです。塾選ジャーナルが昨年行った調査では、小学生の読書感想文を手伝った保護者は65%だったそうです。3人に2人ですから、決して珍しいことではなく、むしろ多くのご家庭で当たり前に行われていることが分かります。
同じ調査では、子どもが選んだ本を親も一緒に読んだというご家庭も半数ほどいました。つまり、関わること自体が悪いわけではなく、大事なのは「手伝うかどうか」ではなく「どう手伝うか」なんですよね。
最近では、AIに書かせるという手もあります。ただ、この調査ではAIを使うことに6割以上の保護者が抵抗を感じていて、実際に参考にした人は5%ほどにとどまっていました。「丸ごと代わりにやらせるのは違う」という感覚を、多くの保護者の方がちゃんと持たれているということです。
ですから、もし手伝うことに罪悪感を感じている保護者の方がいるとしたら、それは「手伝うこと自体」ではなく、「どこまでやってしまうと子どものためにならないのか、その線引きが分からない」という点にあるのだと思います。この線をはっきりさせれば、安心して関わることができます。
感想文が「書く力」を鍛える理由
そもそも、なぜ感想文を子ども自身に書かせることに価値があるのか。ここを押さえておくと、関わり方の判断がしやすくなります。
いま、子どもたちの「自分の考えを書く力」は、往々にして厳しい状況にあります。この番組でも以前取り上げましたが、昨年の全国学力テストでも、文章を読んで自分の考えと理由を書く記述式の問題は、正答率が落ち込む傾向が出ていました。知識としては入っていても、自分の言葉で組み立てるとなると、一気に書けなくなる子が多いんですよね。
一方で、読書する時間が長い子ほど記述式問題の正答率が高いという傾向も、実際のデータで出ています。読む量と書く力は、やはりつながっているわけです。
読書感想文は面倒くさいものと思われがちですが、「読んで、感じて、それを言葉にする」という一連の流れは、まさにこの記述力を鍛える練習になります。書けないのは、語彙が足りないとか漢字を知らないというより、頭の中にあるモヤッとした感想を言葉に変換する練習の量が足りていないケースが多いんですよね。
そう考えると、親の役割は「その練習を奪わないように、でもちゃんと支えてあげる」こと。ここが今回の一番のポイントになります。
本選びと付箋の活用法
では、具体的にどう関わればいいのか。最初のポイントは本選びです。
今年の課題図書は、低学年から高校まで全部で18冊。学年別に分かれていて、1・2年向けの『まこちゃんとコトバロボ』はAIロボットに宿題をまかせきりにしていた子が自分で学ぶ楽しさを見つけ直す話、3・4年向けには田んぼでお米を作る話、5・6年向けにはスポーツものなど、バラエティ豊かです。
ただ、ここで一つお伝えしたいのは、必ずしも課題図書にこだわらなくていいということ。「この中から選ばなきゃいけない」と捉えている方もいますが、子どもが「これ面白そう」と思える本のほうが、感想は自然と出てきます。ですから、本選びで一緒に「どれが面白そう?」と選んであげるのは、むしろどんどんやっていい部分です。
付箋で「心が動いた場面」を残す
本が決まったあとにおすすめしたいのが、付箋を使うやり方です。読みながら、「ここ面白い」「えっ」と心が動いた場面に付箋を貼っていく。それだけです。
読み終わったあと、付箋を貼ったところだけを読み返してみたり、小学生のお子さんなら、その場面を指して「ここ、どう思った?」「もし自分だったらどうする?」と聞いてあげる。すると、「書けない」と言っていた子でも、口では「ここ悲しかった」「自分なら逃げてたと思う」と話せることが多いんですよね。その話した言葉が、もう感想文の材料になっています。
親は「今言ったこと、そのまま書けるやん」と背中を押すだけでいい。ポイントは、親が「こう書きなさい」と中身を決めないこと。あくまで質問する側に回るのが、引き出し方のコツです。
結論は子ども自身の言葉で
いよいよ線引きの話です。ここまでの流れで、だいぶ見えてきたと思います。
親が手伝っていいのは、本選び、誤字脱字のチェック、構成の相談、そして付箋からの問いかけまで。逆に、絶対に子ども自身にやらせるべきなのが、「何をどう感じたか」という結論の部分と、それを表す自分の言葉です。ここを親が言ってしまうと、もう子どもの感想文ではなくなってしまいます。
これが一番崩れやすいのが、AIの使い方です。AIに「感想文書いて」と入れれば、それっぽいものが一瞬で出てきますが、それは結論まで含めて丸ごと外注しているのと同じです。昨年、ある小学校で「生成AIで感想文を書くのはなぜダメか」という公開授業があり、子どもたち自身から「カンニングと似てる」「自分の思考力が落ちる」という声が出てきたそうです。答えをもらうことと、答えを引き出してもらうことは、全然別物なんですよね。
親の問いかけは、子どもの中から答えを引き出す。AIの丸投げは、子どもの代わりに答えを出す。形は似ていても、中身は真逆です。
正しいサポートで材料がいくつか集まれば、それを組み立てていくことで、何もないところから一人で書き出すよりも、断然書きやすくなります。しかも、こうして完成させられたら「全部自分で書いた」という達成感が残ります。「その達成感まで奪うラインになっていないか」を判断基準にすると、関わり方が分かりやすくなると思います。低学年のうちからこうしたサポートを受けられている子は、自分の感想が自然と出てくるようになり、しっかり文章を書ける子に育っていくケースが多いんですよね。
まとめ
- 小学生の読書感想文を手伝う保護者は約65%。関わること自体は悪いことではない
- 大事なのは「手伝うかどうか」ではなく「どう手伝うか」
- 感想文は「読んで、感じて、言葉にする」記述力を鍛えるいい練習教材
- 手伝っていいのは本選び・誤字脱字チェック・構成の相談・付箋からの問いかけまで
- 「何をどう感じたか」という結論と自分の言葉は、子ども自身にやらせる
- AIの丸投げは達成感まで奪ってしまうため注意
答えを与えるのではなく引き出してあげる——この一線さえ守れば、罪悪感を持つ必要はないんですよね。まずは本を一緒に選ぶところから始めてみてください。
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