こんにちは、兵庫県加古川市・播磨町で学習塾「ニードモアアカデミー」を運営している三浦です。
「勉強しなさい!」と子どもに声をかけたとき、「今やろうと思ってたのに…」と逆にやる気をなくされた経験はありませんか?
今回のポッドキャスト「ニードモアの聴く塾便り」第19回では、なぜ「勉強しなさい」が逆効果になってしまうのか、その心理学的背景と効果的な子どもとの向き合い方について詳しく解説しました。
日常に潜む「反発心理」の正体
夜中のラーメン現象
まず身近な例から考えてみましょう。夜中にラーメンが食べたくなって、でも「体に良くないから我慢しよう」と自分で決めた時。そこに誰かが現れて「ラーメン食べたらダメよ!」と言われたら、どう感じるでしょうか?
せっかく自分で我慢していたのに、なぜか急に反発したくなったり、逆に食べたくなったりしませんか?
限定商品での圧迫感
店舗での買い物でも同様の現象が起きます。自分では「買おう」と決めているのに、店員さんから「今日限りの限定なので、すぐ決めてください!」と圧をかけられると、急に「本当に必要かな?」と冷静になることがあります。
これらの現象に共通するのは、「自分で決める自由を奪われた」と感じた瞬間に、人は反発したくなるということです。
心理的リアクタンス理論とは
理論の基本概念
この現象は「心理的リアクタンス理論」として心理学で説明されています。アメリカの心理学者ジャック・ブレームが提唱したこの理論によると、人は自分が自由に選択できると思っていることに対して制限や強制をされると、抵抗や反発感情が生じるのです。
人間には「自分のことは自分で決めたい」という根本的な欲求があり、これが脅かされると無意識に反発してしまいます。
勉強における心理的リアクタンス
勉強の場面で言えば、「勉強しなさい」と言われることで、子どもは「自分で勉強するタイミングを決める自由」を奪われたと感じます。
その結果:
- 「今からやろうと思ってたのに」
- 「自分のペースでやりたかったのに」
という気持ちが生まれ、反発心から勉強したくなくなってしまうのです。
長期的なリスク
さらに深刻なのは、継続的に勉強を強制されると、子どもは徐々に勉強を自発的に楽しむことが困難になってしまうことです。内発的動機づけが下がり、勉強そのものに対する興味が薄れてしまう可能性があります。
効果的な子どもとの向き合い方
選択肢を提供する
「勉強しなさい」の代わりに、子どもに選択権を与えることが重要です:
- 「数学と英語、どっちから始める?」
- 「今日は何時から勉強する?」
- 勉強の内容やスケジュールを一緒に決める
選択肢を提示するだけでも、子どもは自分の意思で行動していると感じ、内発的動機づけが高まります。
プロセスを評価する
結果だけでなく、努力の過程を褒めることが大切です:
- テストの成績だけでなく、集中して取り組んでいる姿勢を評価
- 勉強への取り組み方を認める
- 継続的な努力を褒める
これにより子どもの自己効力感が高まり、学習に対するポジティブな感情を育むことができます。
関心を示すが干渉しすぎない
子どもたちは強制されるのは嫌ですが、心の奥底で自分の頑張りには関心を持ってほしいと思っています:
- 今どんな勉強をしているのか把握する
- 内容を詳しく理解する必要はないが、関心は示す
- 「何を頑張っているか知っていてほしい」という気持ちに応える
親として、教育者としての心構え
バランスの重要性
今回の話は「勉強しなさい」を完全に禁止するということではありません。時には危機感を煽ったり、強制力を持って教育する必要があるタイミングもあります。
大切なのは、子どもの自主性を尊重しながら、上手にサポートしていくことです。
具体的なアプローチ
- 命令や強制ではなく、選択肢を提供
- 可能な部分は一緒に取り組む
- 努力の過程を認めて褒める
- 「やらされている」ではなく「自分でやっている」と感じられる環境作り
最後に:自主性を育むサポートを
心理的リアクタンス理論が教えてくれるのは、「人は誰でも、自分で決める自由を大切にしている」ということです。
これを理解した上で、子どもたちの自主性を育みながら学習をサポートしていく。これが私たち大人にできる最高のサポートだと考えています。
ニードモアアカデミーでも、生徒たちが「やらされている」ではなく「自分でやっている」と感じられるような指導を心がけ、保護者の皆さまのご協力をいただきながら、子どもたちのより良い学習環境を作ってまいります!!
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